うるいど八幡屋

うるいど八幡屋4

世界的なシラス鰻の採捕不足や台湾が打ち出した実質的な鰻の全面輸出禁止、それに最近の中国産問題やエネルギー価格の高騰のあおりを受けて、鰻の価格は急上昇。ましてや国産鰻なんて、われわれ庶民の口にはますます遠い存在になりつつある。ところがそんな国産の、しかも“ブランド鰻”を価格据え置きのまま食べさせてくれるお店がある。「うるいど八幡屋」。市原の潤井戸に店を構えて約30年になる和食の老舗だ。中でもうな重は絶品と評判なのだ。

うるいど八幡屋2

元々は小さな町の食堂から始まり、うな重もメニューの中のひとつに過ぎなかったのだが、その時代にしては珍しく、蒸して焼く関東風の“江戸焼”と、蒸さずに焼く関西風をアレンジしたオリジナルの“地焼”を出していたことで評判になったのだとか。

立派な門構えの入口をくぐり、錦鯉の泳ぐ池と新鮮な魚貝類のいるイケスを見ながらの待合いスペースを抜けて店内に入る。広々とした店内は椅子席のほかにいくつものテーブル席があり、さらに少人数用の個室から100人まで収容可能な大広間もあるのだが、込み合う日はこれでも店内に入りきれずに待合スペースで待たなければならないというのだから、人気の程が推し量られる。

うるいど八幡屋3

メニューは鰻のほかにも寿司や蕎麦、刺身、てんぷらなど和食全般で、セットメニューもいろいろと用意されている。でもここに来たならイチオシの鰻を頼むべし。何でも日本の鰻の2大ブランド「共水持丸」と「坂東太郎」を使っているとのことで、蒲焼と白焼がひとつに乗っている“二味重(ふたみじゅう)”をオーダーした。

まずはオーソドックスな蒲焼に箸を入れ、ひと口。

「や・わ・ら・か~い!」

箸でカンタンに切れたのも驚いたのだが、口の中に入れると柔らかくて、ふわっとする感じ。比較すること自体が失礼なことなのかもしれないが、スーパーなどで市販されている鰻は脂肪が多くゴムのような弾力があるが、ここの鰻は口の中でとろけるほどだ。皮はしっかり焼けて香ばしいのに全く硬くなく、秘伝のタレは甘さでその全てを包み込み、鰻の味を邪魔することなど一切ない。

うるいど八幡屋6

次に白焼。醤油をたらして白髪ねぎとわさびと一緒に食べるのだが、これがまた美味い!タレが付いていないから鰻の脂をじかに感じ、ちょっとベタッとした感じになるのかと思いきや、ねぎとわさびが見事に脂の甘みを引き立たせてくどさを洗い流してくれる。

肝すいもこれまた絶品。新鮮な肝はコリコリというよりはクニャクニャして、ほのかな苦味があって、これなら誰でも美味しく食べられるだろう。

うるいど八幡屋5

店長曰く、「うな重なんてシンプルな料理はイチもニも素材で決まっちゃうからね。だから昔はどこも美味かったんですよ、美味い鰻がどこでも採れたから。今はそれを安定して手に入れるのが難しくなっただけで、ウチだけが特別なんじゃありません。」と謙虚なお言葉。

なんでも、毎年日本で消費される鰻は10万トン。その中でも国産物は2万トン。さらにそのうち1万トンは加工食品用に使われるそうで、残りの1万トンを皆が取り合いしているというのだから値段が高いのもうなずける。でも八幡屋さんでは、長年取引きがあって専用に回してくれる生簀を全国に何箇所も持っているから、世間の事情がどうであろうとも、鰻を切らすことなく安全で美味しい鰻を安定した価格で出せるのだそうだ。

うるいど八幡屋1

もちろん素材を活かすための腕もあると思うのだが、これに関しても

「最近はガスで焼く店も多いようですが、うちは備長炭で焼いてます。ガスと違って焼けたから止めるってことが出来ないし、店を開ける何十分も前から火をおこしておかなきゃいけないからコストは倍以上かかりますよ。でも炭の遠赤外線効果でじっくり焼くから骨まで柔らかく焼けるんですよ。美味いものを作るには“どれだけ物にこだわるか”ですね。」

とのこと。このこだわりは、鰻が遠い存在になりつつある今後に、最高の味付けになるに違いない。

うるいど八幡屋
住所 千葉県市原市潤井戸1307-20
電話 0436-74-0007
営業時間 11:00~22:00
http://www.unagi-yawataya.co.jp/
メニュー例:
■うな重
梅…1,900円
竹…2,300円
松…2,700円
特上…4,000円
二味重…1,900円
■ランチ
平日いい午後膳…1,155円
天婦羅ランチ…1,050円
松…2,700円
蒲焼ランチ…1,890円
ミニうな重…1,680円

このページをご覧の方はこんなページもご覧になっています。